オンライン授業:法令上の基礎知識

文部科学省の指針

文部科学省は、オンライン授業で配慮すべき事項として、以下を掲げています。

同時双方向型
  • 「授業中、教員と学生が互いに映像・音声等によるやりとりを行うこと」
  • 「学生の教員に対する質問の機会を確保すること」
オンデマンド型
  • 毎回の授業実施にあたって「設問解答、添削指導、質疑応答等による十分な指導を併せ行うこと」
  • 「当該授業に関する学生の意見交換の機会の確保」

オンライン授業における著作権について

本学では、「授業目的公衆送信補償金制度」を利用しているため、本学のオンライン授業においても著作権者の許諾を得ることなく一定の範囲で著作物の利用が可能です。以下の制度概要をよくお読みください。

授業目的公衆送信補償金制度について

授業目的公衆送信補償金制度は、2018年5月の法改正で創設された制度です。
従来の著作権法では、学校等の教育機関における授業の過程で必要かつ適切な範囲で著作物等のコピー(複製)や遠隔合同授業における送信(公衆送信)を著作権者等の許諾を得ることなく、無償で行うことができました(いずれの場合も著作権者の利益を不当に害する利用は対象外です)。

2018年の法改正では、ICTを活用した教育での著作物利用の円滑化を図るため、これまで認められていた遠隔合同授業以外での公衆送信についても補償金を支払うことで無許諾で行うことが可能となりました。
本学においても、法改正の施行年である2020年に、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)へ「授業目的公衆送信補償金制度」の登録を済ませており、ICTを活用した教育で、著作権者の許諾を得ることなく一定の範囲での著作物の利用が可能になっています。
科目担当者各位におかれましては、以下の注意事項を充分にご理解いただいたうえで、オンライン授業の準備・実施を進めてくださるようお願いいたします。

授業目的公衆送信補償金制度による公衆送信に関する注意点

授業目的公衆送信補償金制度による公衆送信に関する注意点

オンライン授業内(授業映像内で画像・映像を見せる等)や、授業のためのインターネットを介しての教材配布(授業中手元に置く資料等のオンライン配布)における、他人の著作物の利用(公衆送信)は、日本国外の著作物を含め、無許諾で行えるようになります。
ただし、無制限に公衆送信できるわけではなく、以下の要件の遵守が求められます。

  • 教育の担任者か授業を受ける者による送信であること
  • 授業過程での利用(職員会議、授業と関係のない他の教員・教育機関との共有、授業で取扱う範囲を超えたコピー・送信を除く。)に供する目的であること
  • 必要な限度内での送信であること
  • 送信対象が公表された著作物であること
  • 著作物の種類・用途や送信態様から著作権者の利益を不当に害するものではないこと

これらの要件は、通常授業の利用に供する目的での複製(コピー)が許容されるための要件とほぼ同じですので、その延長線上でお考えください。例えば、利用者が各自購入することを予定しているドリルや丸々一冊の書籍のアップロード等は、必要な範囲を超えている、または、著作権者の利益を不当に害するものとなり得ます。

こうした不適切な利用に該当するものの基準については、文化庁又はSARTRASによる十分なガイドラインが未だ示されておりませんが、これまでの裁判例に鑑み、利用する著作物の性質や、利用する分量、複製データの質、送信対象者数等を踏まえて、限度をお考えください。

その他の注意点
出所明示の慣行
出所明示の慣行がある場合(引用を行う場合において、その出典を明示すること)は、引き続き合理的な方法及び程度でそれを行う必要があります。慣行がよく分からない場合は、念のため出所を明示してください。
改変の禁止
著作物の改変により、著作者の同一性保持権を侵害しないよう、お気を付けください。例えば、配布資料へ掲載するために差別的な表現を用字・用語を変える等のように、学校教育の目的上やむを得ないと認められる修正は認められます。
公有の著作
既に著作権が消滅している他人の著作物(いわゆるパブリックドメイン)、については、無許諾かつ無償で利用することができますが、上述の同一性保持権をはじめとする著作者人格権の侵害には依然として注意が必要です。
その他
未公表の著作物は、著作権者の許諾なく利用できません。
また、オンライン授業に限りませんが、写真や映像の利用に際しては、自作のものも含め、一般人の肖像権、写真や映像における芸能人等のパブリシティ権にもご留意ください。

関連サイト

「授業目的公衆送信補償金制度」や授業における著作物の取り扱いに関しては、以下をご覧ください。